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Channel: 高村円淨のブログ
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難攻不落のオーバードライブ

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 私が1963年式以外はもう眼中にないとなったのは、平成3年のニューイャーミーティングだったと思います。
 当時RS40系の部品は殆ど底値だったみたいで、まずは何が何だか判らないけれどもある部品は兎に角買えの精神で買いました。むろんこれは高校生の小遣いの範囲ですから限界はあります。

 そのニューイヤーミーティングで決定打になったのがカタログで、当時1万円だったかな?値引いてこの額だったかもう少ししたかの価格でした。
 尚カタログについては「おもちゃ、カタログ等」の項目でもかなり初期の方を見ればそのカタログがあります。

 オーバードライブのシステムは判りにくかったけども、自動的にランプが光って4速、5速の役割を果たすとは凄い!と思いました。そんなシステムがあるならこりゃ~絶対にRS41に乗らねばなんねぇ~!でした。

 平成3年のニューイヤーは部品はロクな物は買えませんでしたが、17歳の餓鬼の心を鷲掴みされて他の旧車には浮気しないとなったきっかけなので結果的には大きく元を取ったとは思います。もしこのカタログが無かったら・・・・このレストア困難を乗り越えられたか???
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 この光を見たい!そしてどうなるんだろうか?その一途で復活には大変な苦労をしました。

 実はここで書かねばならない事として、当時のフルサイズカーの主力オーナーはタクシー業者でした。彼らが望む車とはコラム3速で、余り民意に沿わない流石のプリンスとて、3速プラスODと云う形で4速目をODにしましたが、セドリックは1963年モデルまでは4速でしたが、これはトラックから来ている作りでライバルの1速が2速に該当し4速とは云えど事実上は3速モデルでしたが、どうも当時のタクシードライバーにはウケが良くなかったそうでした。但し関山峠だとか栗子峠(当然旧道)を走るにはこのセドリックの4速は物凄い威力を発揮しました。
 徳大寺有恒氏は「当時の日産は田舎の需要に応えていた」とありますが、こういう点が挙げられます。(因みにこれは著書には無)鈍重な大型が前にいれば否応なくローで無いとストレスが掛かります。

 クラウンにオーバードライブが付いたのは昭和33年10月のRS21から。実はひょんな事でつきました。
 
 モーターエージで紹介した中村主査の部下で肩書のないMさんがクラウンRS型を中古で購入した時改造してこのRS21以降のオーバードライブを取り付けました。
 それを見た中村氏は

 「それ中々良さそうだな!よし、このシステムを量産化する為の設計をやれ!」と命じて1959年式モデルから採用となりました。
 将来は高速道路網が完成し、3速コラムだけではいずれ売れなくなる日が来るのでこのシステムが合理的となった様です。
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 復活当初オーバードライブボタンは物凄い力で引いても引けず、何をしても戻りました。全然作動する様子もなく、カタログ通り操作するがランプひとつ点きません。
 そこで平成16年師匠にお願いして修理して頂きました。分解結果機構的には何も問題がなく、ギヤは綺麗との話でした。
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 ギヤ本体も傷んではいません。スタンダードミッション含めて歯は欠けて居ませんでした。
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 犯人は電装部品でした。写真はソレノイドSWでオリジナルは全然作動しない。そこで中古の1964年式最初期の物をOHしました。
 何とこの部品は廃車の少し前に新品と交換した物らしく、磁石の程度もストックの中では一番でした。
 現在はスペアパーツになりましたが、そもそもスペアーで入手した昭和41年式のMS41から外した、殆ど走らなかった個体の物をOHして今走っています。

 程度に関してはこの写真のSWの方が良いので、そのうち交換となるかも知れません。尚MS41は昭和51年廃車で2万キロ程度走った個体です。
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 これも犯人でした。ゼネレーターですが私の車は永久磁石が全然ダメで、発電量も2Ⅴ程度。本来は866回転で8.5Ⅴです。

 これも1964年式の前期型の物。今は更に調子がいい物を入手し磁力が強烈だった何度か出したクーラー温度SWや取扱書のドナーだった昭和41年式MS41からの移植です。

 他にリレーは元の物は完全に逝っており、1963年式の元ホステスさんの愛車だった廃車個体より移植。その後都内の基盤修理屋で修理しより確実に作動する様になりました。

 キックダウンSW等は新品が出てきたのでそれに交換しました。然し・・・・それでもオーバードライブはマトモに作動しなかった時期があり、最終的にはデスビにキックダウンSWが結線されておらず、結線したら見事に解決しました。

 一時はオーバードライブは全て新品部品で賄える人以外は楽しめない代物と思い込んでいましたが意外な理由で作動がイマイチだったのです。
 でもそれ以前にオリジナルのままでは永久に作動しない代物だった事でしょう。

 システムを理解し本当の意味での作動までは結構な時間を要しました。レストアで苦労した部位の一つがオーバードライブ機構です。

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