グランデセイコー(Cal3180型)が手に入りました。
通称GSファーストと呼ばれるモデルで、近年機械遺産に認定された名機であります。
発売は昭和35年12月18日で大凡昭和38年9月まで3.6万本製造販売されました。これは量産時計としては異例の少なさだそうです。
私は初期モデルでもマイナーチェンジ後の1960年9月~61年8月まで製造されたモデルに絞って探しました。
GSファーストは個体番号は蓋の裏側に刻印されていますのでどうしても時計屋でないと開封は難しいと考え、ヤフオクで手に入れたので出品者の画像を保存しました。
GSファーストはヤフオクで多くが61年9月製造以降の後期型が多数出ていますが(前回のこの書庫参照)この10年初期型に的を絞り探してきました。
これまで出た商品は20本前後ですが、出品時最も気を付けて見たのがこの蓋の画像が出ているかどうかです。今の所GSファーストは60年4月~製造開始されその時の文字盤のグランドセイコーはプリントされた物でした。そして9月から61年8月までが文字盤を彫って銀色のペイントを流し込んだ物。恐らくこちらの方が文字盤書き換え(リダン)がやりにくいと思い、彫文字だけ追いかけました。
この裏蓋の読み方はOctの「O」と1960の「0」の意味です。GS含め多くのモデルは通常1960年4月製造ならば「04」と打刻しますが、ファースト型は10月~12月は英文頭文字が先です60年11月は「N0」と打刻されます。
前回の記事でも書いていますがGSファーストについてはメーカーでも資料は一切なく自分の分析は初期型の後期が私の物であると経験から分類しました。
実はこの商品はジャンク品扱いです。竜頭はオリジナルに入れ替えましたが、元は非オリジナル。後に書きますがメダリオンが欠品で実は落札後気付いた大きな問題点があります。
然し時計その物はきちんと作動しますのでジャンク品でも「落札しなければ!」の意気込みでした。
それと時計の透明カバー(風防)ですが新品を手に入れ交換済みです。オリジナルはスペア部品になります。
初期型の重要なポイントは時計の針が山形なのか?平たいのか?初期型は山形になります。
これがオリジナル竜頭。
気付かなかった問題点は「ハック機能」(時計の時刻合わせ時秒針が止まる機能)が抜き取られていた事。
それに伴った改造もしてありました。ハック機能の大きなデメリットは機械に負担を掛ける構造で、多分アンティークとして扱い改造して取り去ったと思われます。
初めは焦りましたが幸い修理出した時計店のルート内でハック機能の部品が全て新品で見つかり、本来の機能通りになりました。
裏蓋のメダルは新品ですが、入手当時は欠品でこれが無いを理由にジャンク品でした。当時出ていた補修用を入手しメダルは金鍍金ですが、周りの蓋は14金です。
これが時計の帯錠。
実はこのセカンドはお爺ちゃんの形見です。
余り使わなかったのか綺麗でした。
これを見付けて修理したのでこの前のモデルも欲しいとなり探して今回セカンドもお披露目です。
セカンドは一般的な表面打刻
1964年6月製造でCal430型です。
43999は他に同じセカンドで65年7月から始まる後期型が5772型で68年の初めまで製造されます。
尚このモデルはファーストモデルが25石に対し35石と多石化されたのが特色で、カレンダー機能もこのモデルから付きます。
竜頭はこの様な物でこれがオリジナルです。
帯錠。尚5772モデルから帯錠も変更されます。
ファーストとセカンドを並べて。共にこれ等は初期型です。それと時計屋にOH時の様子を伺うと、錆や腐食が全体的に少なく竜頭交換でも話になりましたが固着が無くスムーズな交換が出来ました。
ハック機能が抜かれたと云え、部品代は然程でもなくジャンク品とは思えない程度の良さでした。
オリジナル化修理代金含めて入手価格は相場価格の55%~70%OFFでした。実はこれより文字盤が綺麗な1961年製造が今回の費用の2.3倍で、先月落札できなかった商品の50%OFFでこの姿になりましたので、儲け物だと思います。(当然落札品には送料とOH価格は含まれずで、私はOH代金と送料入れての価格です)
例えば1963年製造だけど文字盤だけ彫文字とかプリント文字で蓋の裏が「04」(1960年4月製造)と云う猛者も沢山ヤフオクで見ました。恐らくバブル期の60年代ブームで初期型にしたくて頑張った物でしょう。
今回の商品はそういう「嫌らしさ」がなくこういう点でも儲け物です。